災害時にドローンはどう役立つ?プロ運用者が知るべき5つの活用法と実践技術

近年の豪雨災害や地震でのドローンの活用事例が注目され、従来の救助活動や情報収集は大きく変革しています。この記事では災害時にドローンはどう役立つのか、また、運用者が身につけるべき技術や法規制まで詳しく解説します。
災害時にドローンが活躍する5つの主要分野
災害現場では限られた時間でいかに効率よく任務を遂行できるかが勝負となる中、ドローンの活用範囲は年々拡大しています。ここでは災害時にドローンはどう役立つかについて、実際の現場で求められる5つの主要な活用分野を詳しく解説していきます。
被災状況把握と迅速な情報収集
災害時にドローンが最も威力を発揮するのは、被災状況の迅速な把握です。上空からの俯瞰映像により、地上からでは確認困難な広範囲の被害状況をリアルタイムで把握できます。
特に豪雨による河川氾濫や土砂災害では、危険区域に人が立ち入ることなく状況確認が可能となります。高解像度カメラを搭載したドローンなら、建物の損壊状況や道路の通行可否まで詳細に確認でき、災害対策本部での迅速な意思決定を支援します。
要救助者の捜索と救助活動支援
ドローンに搭載された赤外線カメラとGPS機能により、夜間や悪天候下でも要救助者の発見に役立ちます。従来の地上捜索では発見困難な倒壊建物内や山間部での遭難者捜索において、その効果は絶大です。
2024年の能登半島地震では、被災状況把握、救助活動、物資輸送等にドローンが積極的に活用され、初期災害時支援活動で重要な役割を果たしました。赤外線カメラによる体温感知機能は、瓦礫の下に埋もれた生存者の発見にも活用されています。
緊急物資輸送と孤立地域支援
道路が寸断された災害現場において、ドローンによる物資輸送は生命線となります。特に山間部や離島などアクセス困難な地域では、医療物資や生活必需品の迅速な輸送が可能です。
国土交通省では2025年から災害時の緊急支援物資輸送体制の確保に向けて、物流事業者、地方公共団体、NPO等の関係機関が連携したドローン物資輸送訓練の実施を推進しています。最大30kg程度の荷物を運搬できる大型ドローンの活用により、従来のヘリコプター輸送では困難な狭い場所への物資供給も実現しています。
インフラ設備の被害調査と点検
災害後のインフラ復旧において、ドローンによる迅速な被害調査は極めて重要です。橋梁、トンネル、送電線、通信設備などの損傷状況を安全かつ効率的に確認できます。
高所や危険箇所でも人が近づくことなく詳細な点検が可能で、復旧作業の優先順位決定や安全性評価に活用されています。AIを活用した自動飛行ドローンの開発も進んでおり、より効率的なインフラ点検技術が期待されています。
避難誘導と情報伝達支援
スピーカーを搭載したドローンによる避難誘導は、新たな災害対応技術として注目されています。浸水エリアや土砂災害危険区域において、住民への避難呼びかけや安全な避難ルートの案内が可能です。
災害時ドローン運用で求められる技術スキル
災害現場でのドローン運用には、通常の業務とは異なる高度な技術と知識が求められます。運用者が身につけるべき専門スキルについて解説します。
悪条件下での操縦技術
災害現場では強風、雨、視界不良など厳しい気象条件下での飛行が求められます。時には、GPS信号が受信困難な環境や電磁干渉が発生する状況でも、安定した操縦を行う技術が必要です。
特に夜間飛行や目視外飛行の技能習得は重要です。障害物回避機能を持つドローンでも、被災環境が厳しい条件下でも対応できるためには、運用者のスキルに委ねられるため、飛行技術の習得は必要といえます。
緊急時の法規制対応知識
災害時には航空法第132条の92による特例措置が適用されますが、適切な手続きと運用知識が必要です。緊急用務空域の設定や飛行許可手続き、関係機関との調整など、平時とは異なる法的対応が求められます。
国土交通省や地方航空局との連絡体制構築、必要書類の準備、緊急時連絡先の把握など、事前準備が災害時の迅速な対応を左右します。
参考:航空法第132 条の92の適用を受け無人航空機を飛行させる場合の運用ガイドライン
機体メンテナンスと故障対応
災害現場では機体への負荷が大きく、通常以上のメンテナンス技術が求められます。飛行前点検の徹底、バッテリー管理、プロペラや機体の損傷確認など、確実なメンテナンスが安全運航の基礎となります。
現場での応急修理技術や予備部品の準備、複数機体による運用体制の構築も重要です。故障時の代替手段確保や緊急着陸手順の習得により、任務継続能力を高めることができます。
運用者が知るべき災害時の法規制と特例措置
災害時のドローン運用では、平時とは異なる法規制の理解と適切な手続きが不可欠です。運用者が押さえるべき重要なポイントを解説します。
航空法第132条の92による特例措置
災害時の捜索・救助活動では、航空法の許可・承認手続きが一部免除される特例措置があります。国・地方公共団体またはその依頼により捜索・救助を行う場合、通常の飛行禁止空域や飛行方法の制限が緩和されます。
ただし、事前に管轄する空港事務所への電話連絡と電子メール通知が必要です。飛行目的、範囲、高度、機体情報、連絡先などの詳細情報を適切に報告することで、合法的な災害対応活動が可能となります。
緊急用務空域での運用制限
大規模災害時には緊急用務空域が設定され、原則としてドローン飛行が禁止されます。消防・警察のヘリコプター等との空域調整が最優先となるため、国土交通省航空局のホームページやX(旧Twitter)@mlit_mujinkiでの情報確認が必要です。
緊急用務空域内での飛行は、航空法第132条の92の適用または個別の飛行申請による許可取得が必要です。有人航空機との運航調整を含めた厳格な安全管理が求められます。
まとめ
災害時にドローンはどう役立つのかについて解説しました。被害調査から救助活動、物資輸送まで幅広い分野で重要な役割を果たしつつある一方、
運用者にはより高度な操縦技術、法規制の理解、適切な機体選択が求められます。国家資格取得と継続的な技能向上は、災害現場での迅速で効果的なドローン活用を実現することにつながります。
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