「ドローンの飲酒運転で書類送検」の事案をわかりやすく解説
ドローンにまつわる法律は多々ありますが、基本的なルールをご存知でしょうか?
先日、ドローンの飲酒運転で書類送検されたニュースが報道されました。同じ過ちを起こさないよう、事件の概要とドローンのルールを照らし合わせて見ていきましょう。
「夜景を見たかった。ドローンを飲酒運転で書類送検」の概要
場所は新潟県。新潟市北区地内の上空で、飲酒した状態で、ドローンを飛ばしたなどとして、新潟市北区に住む飲食店従業員の男性(47)が航空法違反(夜間飛行の禁止、飲酒時等の飛行禁止)の疑いで、新潟地方検察庁に書類送検されました。
飲酒しドローンを飛行 航空法違反で検挙 県内で初|NHK 新潟県のニュース
警察によると、男性が無許可で飛行させたのは3回。5月下旬、6月上旬は日中の飛行、6月中旬は午後11時ごろの夜間飛行とされています。
いずれも新潟北署の近くで飛行させており、6月中旬にパトロール中の警察官が男性を職務質問したことで発覚しました。ドローンが飛行していたのは新潟北署の近くとされています。
国土地理院地図で見るとこのような場所です。
画像の右側に青い旗が立っている場所が警察署です。周辺は工業団地や田んぼのようです。近くには新潟空港もありますが、規制の範囲外です。人口集中地区(赤塗りのエリア)とも離れています。
何が違法行為につながったのか
飲酒運転
ドローンを飛行させる際は、飲酒で正常な飛行ができない恐れがある状態での操縦は航空法により禁止されています。
違反すると、1年以下の懲役か30万円以下の罰金となっています。今回のケースでは、飛行中のドローンを発見した警察官が、男性に職務質問し、アルコール検知をおこなったようです。
夜間飛行
日没以降にドローンを飛行させる場合は、夜間飛行に該当します。夜間飛行する際は、事前に国交省へ申請し、許可を得る必要があります。
男性が飛行させていたのは午後11時ごろでしたので、ドローンの光や音は目立っていただろうと推測されます。
無許可での飛行
前述した飲酒時の飛行や無許可での夜間飛行はもちろん違反行為ですが、そもそも発覚以前にも国の許可を得ずに飛行させていたようです。
詳しい内容は報道されていませんが、人口集中地区でなくても、高度150m未満飛行なのか、物件や第三者から30m以上の距離を保っているか、土地管理者の承諾を得ているか、などが焦点となるでしょう。
ドローンが飲酒運転になる基準は?
今回、改めて基準値を調べてみましたが、国交省の資料には「アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと」となっており、基準となる数値については、現時点だと見つけることができませんでした。
航空安全:無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法 - 国土交通省
参考までに、飛行機パイロットや車の場合を見てみましょう。
飛行機のパイロットの場合
飛行機パイロットの飲酒運転も過去にはニュースとして取り上げられました。2019年1月31日に制定された基準では、呼気中濃度0.09mg /L未満、血中濃度0.2g /L未満と定められています。各飛行機会社で運行規程が定められており、上記の基準よりも厳しい内容となっている場合が多いです。
車の運転の場合
道路交通法において、酒気帯び運転の基準値となる呼気中アルコール濃度は0.15mg/Lです。血中アルコール濃度に換算すると、0.3mg/mL(0.03%)に当たります。
血液中のアルコール濃度は、体重と、飲酒量によって変わってきます。
参考までに、体重60kgの人がアルコール度数5%のビールを1缶(350ml)飲むと、アルコール血中濃度は、0.04%となります。
ビールメーカーのサイトで目安の量を計測できますので、日頃お酒を飲む習慣がある人はぜひお試しください。
SUNTORY 酔いの程度を判定してみましょう
翌朝も要注意
飲酒した翌朝、二日酔いの状態でドローンを飛行させるのも禁止です。アルコールが完全に抜けるには数時間かかるため、業務などで飛行する予定がある場合は前日に飲みすぎないよう、注意しましょう。
まとめ
今回は、新潟県でのドローン飲酒運転のニュースを取り上げましたが、8月には青森県でも「青森ねぶた祭」で花火大会の花火を撮影するために、飲酒した状態でドローンを飛行させた事件がありました。飛行中のドローンを警察官が追跡し、操縦者の男性の自宅を特定したとのこと。
ねぶた祭の夜、ドローンを「飲酒運転」...50歳男を書類送検 : 読売新聞オンライン
夜間に飛行するドローンは良くも悪くも目立つ存在です。ドローンで撮影した夜景や花火は、地上からの視点と違い大変美しいものでしょう。気持ちよく活用するためにも、ルールを遵守していきたいですね。